日記

時代に乗るか?時代の逆を行くか?

 

マーケットの世界には「順張り」と「逆張り」という考え方があります。

私は、これらは全ての世界に通用する概念だと思っています。

「順張り」は時流に乗るという事です。

例えば、「機械学習やAI、データサイエンティストなど最先端技術や流行を追って仕事を得る事はできないだろうか?」と考える戦略などでしょう。

これらのメリットは流行によって需要が急拡大するというところです。

つまり、需要が増加すれば、それによって「人手が必要なので求人が増えて、仕事を得やすい。」という前提で攻める事になります。

人手が不足すれば、多少スペックが悪かったり、パフォーマンスが低い人材でも登用される可能性が多少は上がるはずです。

有能な人材は時流によって受ける影響が軽微ですが、パフォーマンスが低い人材は常にマクロな時代背景に影響を受けるので、こういった戦略を練る必要があるわけですね。

 

ただし、「順張り」にも当然ながらデメリットがあります。

時流のピークが、いつ来るか?どこが天井か?これを知る術が存在しないという事です。

時代には大きな波と小さな波があって、その規模を完全に読み切る事は人間にはできません。

よって、自分では時流に乗っているつもりでも、その流行の波が頂上付近であった場合、その勢いは急激に減速します。

すごく有利な局面で攻めているつもりが、実は強烈に不利な局面に、わざわざ負け戦を仕掛ける事になるのです。

文章にすると、非常に間抜けな行動に見えますが、ほとんどの人が「順張り」で攻めたつもりがピークを掴んで失敗します。

 

私が学生時代、カリスマ美容師などという言葉があり、美容師という職業には大変人気がありました。

予約は1年待ちで、月収200~300万円くらい稼ぐような美容師が何人もテレビで紹介されていて、みんなの憧れの的でした。

私の同級生でも美容師になった人は、とても多かったです。

今、若者にこの話をしてもピンとこないでしょうね。

つまり、時代の波というものは常に変化しているという事です。

2023年現在、正社員で美容師として勤務する人の平均年収は約350万円です。

厚労省の発表では、日本全国の美容理容施設は37万8,626、理美容師は76万8,222人です。

ちなみに日本全国のコンビニの店舗数は5万5,924です。

いくら髪をプロの美容師に切ってもらう人がいなくならないとはいえ、さすがに供給過多であると言わざるを得ません。

日本の労働力人口は6,860万人。ランダムに日本人労働者を100人集めたら、ほぼ確実に1人は理美容師がいる事になります。

超過当競争です。

平均給与が低いのは需要と供給のバランスが大きく崩れている証拠です。

流行に乗った職業というのは、必ずこういった時代の節目で同じ現象がみられます。

 

対して「順張り」と真逆の戦略が「逆張り」になります。

みんなが見向きもしない、嫌がる、人気のないようなところを意図的に狙って攻める戦略です。

なぜ、不人気なところを攻めるのでしょうか?

答えは簡単です。

不人気なものは、当然狙ってくる人が少なくライバルの対象となる人材が少ないからです。

需給と関係なく、不人気であるが故に人不足が発生します。

不人気であるという事は報酬が上がる傾向があります。

不人気で低賃金であるような職業は、完全に消滅するか、限定された人材登用しかできません。

実際に飲食店やガソリンスタンドは人不足であり、私の自宅近所のガソリンスタンドは高校生でも時給1,300円スタートの募集がありました。

やる人が少ない仕事であれば、多少パフォーマンスが悪く、低スペックでも登用される可能性が上がります。

また、時代には必ず波があって下落が永久に続く事はありません。

必ず底を打つと上昇するようになっているので、やがて来る上昇の恩恵を少ない労力で得る事が可能です。

 

逆にデメリットは、その底を知る術がないというところにあります。

「逆張り」は大きなリターンを得る戦略でありますが、使いどころが非常に難しい。

いくら人生100年時代とは言え、仕事をする時間は、どんなに長い人でも50年くらいが限界でしょう。

その50年で底をついて、さらに好転して爆発的に伸びるというサイクルが来るかはわかりません。

ですが、その恩恵を実際に受けている人達も大勢います。

例えば、ITエンジニアは典型的な例だと言えます。

15年~20年くらい前ですが、エンジニアはIT土方などと言われ「SEとだけは結婚するな。」という事も聞きました。

生活が不規則になりがち、給与が低い、勉強しなきゃいけない事が多すぎてついていけない。。。

それが今ではどうでしょうか?

以前よりも技術の進歩するスピードが上がってはいるものの、学習コストが驚くほど下がっています。

昔は大学の工学部で学位を取得する必要があったようなものでも、無料か少ないお金を払えば学べる時代です。

そして、需要が増え続けているにも関わらず労働者不足は解消されていません。(エンジニアに限った話ではありませんが・・・。)

完全に供給が不足している為、待遇や給与は上昇傾向にあります。

時代は変わり、エンジニアに対するイメージがホワイト化された事でエンジニアに憧れる若者が増えました。

もし、「SEとだけは結婚するな。」と言われていたような時代から継続していれば、今はベテランエンジニアとして仕事に困る事はないでしょう。

こういった時代が来ると信じてエンジニアを続けていた人は超少数派だとは思いますが・・・。

 

これらの例のように、今、目の前にあるものだけを見て行動するという行為は必ずしも合理的であるとは言えません。

未来を的中させる事は絶対にできませんが、少なくとも永久に現状が変化しないという事はありえないという事実は歴史が証明しています。

「順張り」であれ「逆張り」であれ、一長一短あるし個性によって上手く使えたり、使えなかったりするものです。

孫子の兵法にもありますが、人間は自分を知る事が最も難しい生き物です。

口で言うほど簡単な話ではありませんが「自分を知る」という事ができる人は本当に強いです。

そして、今、目の前にあるものだけに翻弄されてはいけないです。

時代は必ず変化します。この事を意識する事で、今、自分が何をする事が最も合理的であるか?

そして、自分の戦略や自分の強みは、どこで活きるのか?

自分の弱みを知り、自分が苦手な場面では潔く撤退する事も重要です。

こういったプランを設計して、「実践しながら常に修正を繰り返す。」というサイクルを継続していくべきだと私は考えています。

この様に人生というゲームで自分という駒を楽しみながら進めていければ、それほど大ダメージは受けないで済むのかな?って思います。

何か非凡な能力がある人は別ですが、私のような凡人である場合、多少なりとも戦略的な思考が必須となってくるわけです。

 

 

 

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